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部分痩せダイエットはできるの?
残念なことに、学問的には部分痩せは不可能というのが常識になっています。部分痩せをしたい理由には、体型に締まりがなくなってきた、お腹がポッコリ出てしまったなどがあるでしょう。ダイエットは大変だから、気になる部位だけでもすっきりと脂肪を落としたくなるのではないでしょうか。
特定の部位のマッサージやトレーニングを続ければ部分痩せもできそうですが、これは無駄な努力になるのでしょうか。
部分痩せは不可能で嘘と言われる理由
実際にお腹が痩せた、太ももが細くなった、など部分痩せの成功体験は多く紹介されています。これはその部位だけに限って痩せたわけではありません。全身のダイエットが成功したから、あるいはマッサージで一時的にむくみがとれたからその部位も痩せているのです。では、なぜ部分痩せができないと言われるのか、その理由について説明していきます。
腕の筋トレで腕の脂肪は減らない
腕の筋トレを行い、皮下脂肪の変化を調べた研究があります。男女104人が12週間、片腕だけ筋トレを行い、筋トレ前後で腕の脂肪が減少するか調査しました。
結果は、腕をつまんだ時の脂肪の厚みの測定では、男性は鍛えた腕と鍛えていない腕で差がみられました。しかしMRIを使用した腕の脂肪の量の測定では、男女とも脂肪の減少量に左右で大きな差はみられませんでした。
この研究から、腕の筋トレで腕の脂肪を減らすという部分痩せ効果はないことが分かります。ただし筋肉が成長して体を引き締める効果は期待できます。
(腕の筋トレによる皮下脂肪の変化の研究については以下の記事も参考にしてみてください。)
Subcutaneous Fat Alterations Resulting from an Upper-Body Resistance Training Program
出典:The American College of Sports Medicine
(ダンベルの腕トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
【ダンベルの腕トレメニュー】太く・細くする目的別のポイントまで解説!
出典:Slope[スロープ]
腹筋で全身の脂肪が燃焼する
別の研究で19名の男性を対象にした、腹筋を鍛えるトレーニングによる体や脂肪のサイズの変化を観察したものがあります。その結果によると、トレーニング後の体重や体脂肪量、体脂肪率、腹部の皮下脂肪の厚さにはほとんど変化がみられませんでした。
つまりお腹を集中的にトレーニングしても、動かした部位の脂肪から優先的にエネルギーとして供給されるわけではないのです。お腹を含む全身の脂肪が燃焼して減っていくので、部分痩せの可能性はないことが示唆されています。
(局所運動による脂肪減量への影響については以下の記事も参考にしてみてください。)
出典:健康運動指導士養成講習会 講義資料
(正しい腹筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)
正しい腹筋の鍛え方!短期間で楽にお腹を割るコツ&NG例を徹底解説
出典:Slope[スロープ]
部分痩せは不可能だが痩せやすい部位はある
部分痩せが不可能とはいえ、ダイエットをする時どの部位から痩せていくのか知っていると役立ちます。痩せたい部位がなかなか痩せなくても、悩むことなくダイエットが続けられるからです。
痩せていく順番
ダイエットをすると、体の中心部から離れている部位から痩せていきます。具体的には、『①手首・足首』『②前腕・ふくらはぎ』『③肩』『④二の腕・太もも』『⑤顔・胸』『⑥お腹』『⑦お尻」の順番です。多くの人が脂肪を落としたいところほど、痩せる順番が遅くなっています。
お腹周りに脂肪がつきやすく、しかも落としにくくなっているのは、大切な内臓を守るためです。引き締まったウエストを目指してダイエットを始めても、成果がでるのは最終段階なので時間がかかってしまいます。
まずはふくらはぎと二の腕
お腹やお尻はなかなか痩せないので、まずは早めに効果がでやすい二の腕やふくらはぎの引き締めを目指しましょう。どちらも冬以外は露出の多い部位です。見えるところにダイエット効果が現れてくると自信につながり、モチベーションもアップします。
二の腕やふくらはぎに効果が現れ始めたら、ダイエットがうまくいっているということです。そのままダイエットを継続しましょう。いずれお腹やお尻にも結果がでてくることになります。どれくらい継続すればいいのかは、体質や運動量、食生活などで人それぞれです。お腹やお尻が痩せるのは最後の方であることを意識して、気長に取り組みましょう。
(ダンベルを使った二の腕の解消法については以下の記事も参考にしてみてください)
たるんだ二の腕は『ダンベル』で解消可能!重量設定〜10種のメニューまで紹介!
出典:Slope[スロープ]
効率よく痩せたい部位の脂肪を落とすには?
特定の部位を狙って脂肪を落とすのは痩せる順番があるので難しいです。ですが、筋肉をつけることで引き締まって見えます。さらに食事に気を付けることで、効果も高まります。
筋肉をつける
体のたるみは、筋肉量が減り脂肪が増えているからです。筋トレでお腹や腕など気になる部位に筋肉をつけましょう。筋トレで筋肉量を増やすことによって、体重が変わらなくても引き締まって見えてきます。その上基礎代謝量もアップするので実際に痩せやすくなります。
食生活を整えてダイエット効果を上げる
脂肪を落とすために、食生活に気を配ることは欠かせません。運動で脂肪を落としても、食事から大量の脂肪を摂取し続けていては意味がなくなってしまいます。
食事の量は、1日の活動エネルギーを必要とする朝はしっかり取り、消費エネルギーが少なくなる夜は控えめにしましょう。
また、食物繊維は脂肪を溜めにくくする効果があるのでしっかり摂りましょう。脂肪の元となる糖質や脂質は控えめに摂取するようにしてください。お腹が痩せた、と気づいたときには、全身が整ったボディになっているはずです。
(お腹痩せの食事管理については以下の記事も参考にしてみてください)
お腹痩せは食事管理が重要!即効でお腹の脂肪を落とす食べ方〜メニューまで解説!
出典:Slope[スロープ]
近年、部分痩せが可能という研究結果も?
これまで、部分痩せはできないというのが常識でした。ところが、部分痩せが可能なのではないかという研究が2017年に発表されています。どのような理由からなのか解説していきます。
上半身、下半身別の筋トレと有酸素運動の効果
研究では、30歳前後の女性16人を8週間「上半身のウエイトトレーニング+下半身の有酸素運動30分」を行うグループと、「下半身のウエイトトレーニング+上半身の有酸素運動30分」を行うグループに分けて脂肪の変化を測定しました。
その結果、上半身のウエイトトレーニンググループでは上半身、下半身のウエイトトレーニンググループでは下半身の体脂肪がそれぞれ大きく減少しました。つまりトレーニング後に有酸素運動を取り入れることによって鍛えた部位の体脂肪が減ったため、部分痩せができる可能性が示されたのです。
(筋トレと有酸素運動による脂肪減少の研究については以下の記事も参考にしてみてください。)
Effect of combined resistance and endurance exercise training on regional fat loss
出典:National Library of Medicine
研究結果を参考にしたトレーニングをやってみよう
お腹やお尻をなどの脂肪を落としたいなら下半身中心、二の腕を引き締めたいなら上半身中心のウエイトトレーニングから入るようにしてください。トレーニング後に30分程度、ウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動を行い、ダイエット効果を高めていきましょう。
実際に部分痩せの成果が得られるとは限りませんが、ウエイトトレーニングで筋肉がつくと基礎代謝が高まって痩せやすくなります。またトレーニング後の有酸素運動は脂肪燃焼効果を高める効果があります。継続的にトレーニングすることによっていずれ全体的に脂肪が落ちて、部分痩せに加えて全身の体型が整ってくることが期待できるのです。
(ウォーキングと筋トレでのダイエットについては以下の記事も参考にしてみてください)
ウォーキング×筋トレでダイエット成功者続出!順番・食事〜痩せない原因&対策まで解説!
出典:Slope[スロープ]
部分痩せについて正しい理解をしてダイエットに励もう
筋トレと有酸素運動によって部分痩せができる可能性はあるという研究結果を解説しました。男性ではどうなのか、中高年世代でも効果があるのか、まだ解明されていない点もあります。とはいえ、筋トレと有酸素運動を組み合わせる方法はダイエット効果が期待できるトレーニングなので、実践してみることをおすすめします。
(筋トレと有酸素運動のダイエット効果については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレ×有酸素運動がダイエット効果抜群!順番・時間配分・負荷などまで徹底解説!
出典:Slope[スロープ]